高校を卒業してしばらくしてから、D君が中古で軽自動車を買った。それならバイクでなく車で旅に出かけようという事になった。
暑苦しくも、男4人が小さな3ドアの軽に乗り込んで那須1泊旅行に出かけたのだ。
そんな旅でもとても楽しく、日光から那須へ、温泉・宿・うまい料理、とても気持ち良く、いい時間を過せた。
帰りの道中、めずらしく高速も渋滞なく、スイスイと進んで行った。
予定よりもあまりに早く進んだので、最後のSAではゆっくりと休憩することにした。
余裕の気分でオレ達はSAを後にした。
ガラガラの高速を快調に飛ばしていくと、「料金所300M」の看板が見える。旅の終わりも、もうそこまで来ている。
ところが、料金所を抜けた所で大渋滞。もうウンともスンとも動かない。
それでもオレ達は平気だった。家も近い。楽しい会話が絶えることはなかった。
しっ、しかし、ドライバーのD君に不運が・・・・。トイレに行きたくなったのだ。
この先SAもないし、出口もまだまだ先だ。刻々と時が流れる。D君にはとても長く感じられただろう。しかし渋滞は解消されない。車は全然動かない・・・。
「もうっここでするっ。!」D君は、決心したっ。もう我慢の限界だった。
前の車が、少し進んだ瞬間、D君はハンドルを左に切り、路側帯の壁ギリギリに車を停めた。
周りの車の人達からは注目の的だったが、D君はおかまいなしに車から飛び出し、寄せすぎた壁と車の間に入り、隠れるように用をたしはじめた。
そんなD君の様子に爆笑する後部座席の2人の悪友。
瞬間!助手席のオレの悪魔が目を覚ましたっ。
運転席に滑りこみ、エンジン始動!ギアを1速に入れ、アクセル全開!
車を発進させたのだ。
動きはじめた車に、用をたしている途中のD君は慌てた。振り返るD君の目に写ったのは運転席にいるオレの姿・・・。
オレがD君を置き去りにするような奴だと十分にわかっていた。「コイツならやりかねない」と・・・。
路側帯を20mほど走らせたところで停めてあげた。高速道路を必死に走るD君。ズボンのチャックを上げながら、D君は戻って
きた。
「○☆△×っ!」
顔面真っ赤のD君。腹をかかえて笑う後部座席の悪友2人。
そして、渋滞の道を爆笑しながら進み、とりあえず旅は無事終わったのでした。
時効、時効、、、笑・・・byKEN