» 04.はじめてのTuning partsの記事

先日、TVでシルベスター・スタローン主演の『コブラ』という映画の予告編を見た。
『コブラ』といえば、オレにとっては、初めてチューニングしたマフラーの名前だ。

 

初めて乗ったバイクはHONDAモンキーR。
1000キロほど乗ったころから、ちょっとどこかいじってみようかなという気になってきた。

ことの発端は、友達のうちに遊びに行く時のこと。
迎えに来た友人のバイクは、ボアアップしたゴリラ改。マフラーはタケガワチューン。
キャブもかえていたらしいが、よく憶えていない。
オレ達は、なんということもなく友達のうちへと向うことになった。
ノーマルのオレのモンキーRに合わせて、落ち着いた走りのゴリラ改は前をいく。
今思えば、オレに気を使ってくれていたのかも知れないが。

途中、市川橋と大通りとの合流地点で、後ろから来たスクーターがオレ達をスーッと抜いていった。
それまでおとなしく前を走っていたゴリラの友達は、そこでなにを思ったか抜いていったスクターを追って一気に加速した。

よしっ、オレも全開!

 

しかし、あっという間に遠ざかるゴリラ改とチューンドスクーター。

『あ、あ、待ってくれ~』

当たり前だが一人取り残されるオレ…。

 

単純だが、チューンしようと思ったのはそれがきっかけだ。
速くしたいかなんとか、そんな事は考えていなかったが、とりあえずどこかいじってみたらカッコイイかな、という程度のことだ。
しかし正直、カッコよくなって速くなれば一石二鳥だとも思っていたが…。
ま、そんなこんなで、マフラーを替えようと短絡的に考えたわけだ。
 

『パーツを購入するといえば上野』
その頃はそのくらいの知識しかなく、とにかくまずは上野のバイク街へ。
 

高速道路の下の怪しいバイク屋前には、怪しいバイク乗りが乗ってきた、今でいう旧車がぎっしりと駐車していた。
バイクを降り、反対側のパーツ屋に向かうため信号待ちをしていたオレの前に、1台のバイクが止まった。

『Z1000Rだ。』

アクセルをあおるわけでもなく、ただ静かに信号が変わるのを待っている。
しかしその存在感、なにか惹かれるものがある。
その時信号が青に変わった。

Z1000Rは、爆音とともにホイールスピン、そこでドーンとウイリー!! 
そして、45度ぐらいの角度を保ったまま走り去った。

ガーン!! 『○☆×△~@@』

ここには原付が立ち入ってはイケナイ・・・。
(注:その後オレは、中型免許を取得するまで、上野には電車で通ったもんだ。)

 
 

話しを戻すと…。
そんな事はあったにしても、ま、無事にマフラーを購入することだけはできた。
雑誌でチェックしてあった、SP忠男の『コブラ』というマフラーだ。
にやにやしながら家に帰って、そっと箱から出してみた。

『おおっ!カッコイイぜぇ。』
『でもサイレンサー部分が粗いな。ここがピカピカならもっとカッコイイだろうな。』

そのころから、モノの仕上がりに厳しいチェックが入ってしまう性が現れてきたように思う。
 

それからは、夜な夜なペーパーでサイレンサーを磨く日が続いた。磨きに磨いた。
メシを食うのも忘れるほど…。
1週間磨いてかなり良くなったので、とうとう我慢できなくなり、深夜に取り付けることにした。
取り付けはいたって簡単。10分もかからない。
使った工具もそのままにちょっとエンジンをかけてみることにした。

スイッチON、キック!イッパツ始動、『ボボーン!!』
『うわあぁあぁ・・・』 『カチッ』 シーン…。
 
ノーマルの時とはまるで違う迫力の音にびっくりしたオレは、たまらずエンジンを切った。
ドキドキする心臓とはやる気持ちを抑えながら工具をかたずけ、ジャンパーに袖を通しヘルメットをかぶる。
そして、家の前から広い通りまでモンキーRを押していった。
再度エンジン始動、『ボボーン!!』
ゆっくりと発進・・・そして少しづつペースをあげる。

『ボーンボンボンボーーン!!』

『いいなぁコレ、止まんないよー。』

高まる高揚感を信号が止める。

『ふーっ、あつい。あついなぁー』

ジャンパーの袖をまくり、シグナルブルーとともにバイクを発進させた。
その時の外気温が、0℃近かったという事にはあとになって気がついた。
10数年前の、12月の深夜の出来事だった。

 
 

これがオレの、はじめてのチューニングパーツの話。
だからスタローンには悪いけど、『コブラ』といえば、オレにとっては、はじめてチューニングしたマフラーの名前なんだよ。

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