いくつぐらいのときか全然覚えてないんだけど、オレが自転車の補助輪をはずしたのは、友達に比べて早かったほうだと思うんだ。
その時の体験を、これから補助輪をはずそうと思っているみんなの参考に…。
今こそでっかいバイクに乗ってるけど、そのころのオレの愛車はサ、赤いフレームに補助輪がついたちっちゃめの自転車だったんだ。
たしか、近所の兄ちゃんのお下がりで、ところどころサビサビだったけど、どこに行くにもその自転車が一緒だった。
公園に行く時も、友達の家に遊びに行く時も、いつもその自転車に乗って出かけたんだ。
ちょっと遠出しすぎて、帰り道が分からなくなっちゃって、母さんが迎えに来た事もあったっけ。
オレは大丈夫っておばさんに言ったけど、『暗くなっちゃうからね』って、おばさんが母さんに電話しちゃったんだ。
本当は一人で帰れたと思うよ、ホント。
でさ、サビサビなのは補助輪のステー部分が一番ひどくて、乗りまわしているうちに、ステーの部分がだんだん外側に曲がっていったんだ。
それで、自転車の車体が垂直状態の時には、瞬間補助輪なしで走ってるってわけなんだ。
どんどん乗りまわしてると、ステーの曲がりもひどくなってくるだろ。
だって、そのころのオレはサ、自転車に乗るのが楽しくて楽しくて、カーブだって、ほとんどノンブレーキで突っ込んでたもんなー。
よく大きなケガしなかったもんだよ。
ま、友達みーんなそんな乗り方してたけど、誰もケガなんてしなかったしな。
青あざや擦り傷くらい、毎日新しいのが出来てたけど、あんなの、ケガのうちには入らないしサ。
そうこうしているうちに、ステーの曲がりはさらに加速していったんだよ。
補助輪なしで走っている時間が、少しづつ少しづつ長くなっていたんだろうな。
そんなある日、ついに右側のステーが折れた。
でも、全然こわくなかったよ。
だって、走ってる時にフラッとしても、体を左に持って行けば、左の補助輪のおかげで転ばないだろ。
安心して補助輪なし走行の練習をしてたってわけさ。
そんなに日が経たないうちに、左側の補助輪も邪魔になってきたんで、とうとう父さんにはずしてもらったんだ。
なんの苦労もしないで、その日からまた遠出できたよ。うれしかったなー。
そうやってオレは、友達の中でも早いうちに補助輪とおさらばできたのさ。
自転車は不安定な乗り物だろ。
だから補助輪はその不安定さを補うのかもしれないけど、やっぱり本物のライダーには不必要なモノだよな。
な、そうは思わないか。
これから補助輪をはずそうと思っているボク、そしてお嬢達!
いきなり両方の補助輪を外して練習するのもいいけどさ、今からちょっとづつ、父さんにステーを曲げてもらったり、片方だけ外してもらうのもいい手だと思うぜ。
ライダーはやっぱ、2輪じゃなきゃサ!